心房細動

心房細動とは

心房細動は心房が痙攣するように細かく震えてしまい、全身にうまく血液が届かなくなってしまう不整脈の1種です。動悸や息切れを起こし、心房内に血栓ができると脳卒中心筋梗塞を起こす可能性があります。異常な電気信号によって心房が規則的な収縮を起こせなくなって生じます。心房細動は自覚症状がないことも多いので、リスクが高い方は循環器内科を受診して調べてもらうようお勧めしています。

心房細動の原因

加齢によって発症率が上昇し、65歳以上の方が全体の8割を占めています。心筋梗塞狭心症・心臓弁膜症・心筋症といった心疾患、高血圧脂質異常症糖尿病、メタボリックシンドローム、慢性腎臓病、甲状腺機能亢進症などがあると発症しやすいとされています。また、飲酒や喫煙、ストレス、過労や睡眠不足、熱中症による脱水なども発症の危険因子となっています。

心房細動の症状

脈が飛ぶ、動悸胸痛、胸部不快感、息苦しさなどを感じることが多く、突然倒れてしまうケースもあります。ただし、症状を起こさない方も少なくないため注意が必要です。放置して心房細動が長時間続くようになると、息切れやめまいなどを起こすこともあります。
また、心房細動では心房内の血流が滞って血栓ができることがあり、それが血流に乗って流れ、脳梗塞をはじめ危険な塞栓症を起こす可能性もあります。

心房細動の種類

心房細動は進行性の慢性疾患であり、発作性・持続性・永続性に分けられます。

  1. 発作性(一過性)心房細動:持続時間が発症後7日以内であり、自然に止まる心房細動
  2. 永続性(持続性)心房細動:7日以上続き、自然停止はなく、薬や除細動により止まる心房細動
    ※1年以上続く場合、長期持続性心房細動とされることがあります。
  3. 慢性心房細動:薬や電気による除細動でも止まらない心房細動

心房細動の合併症

心不全

心不全は、心臓のポンプ機能が低下して充分な量の血液を全身に届けられなくなる状態です。心房細動では心臓が細かく痙攣して心臓のポンプ機能が低下して心不全状態になります。心不全になると息切れやむくみなどを生じ、少しずつ悪化して命にかかわります。悪化させないためにも、しっかり治療を続けることが重要です。

心不全

脳梗塞

心房細動で心房内の血流が滞ると血栓ができる可能性があります。この血栓が血流に乗って運ばれ、脳の血管を塞いでしまうと脳梗塞を発症します。生活習慣病や心不全、脳梗塞などの既往がある場合、特にリスクが高くなります。また、心房細動で起こる脳梗塞は太い血管を詰まらせてしまうケースが多く、命が助かっても重い障害を残す可能性があります。心房細動があり、脳梗塞のリスクがある場合には、脳梗塞予防として血液を固まりにくくする薬を処方しています。

心房細動の検査

当院では、12誘導心電図、ホルター心電図、超音波検査装置、様々な情報を取得できるベッドサイドモニタを用いた検査を行っています。また発作性心房細動が疑われる場合は、24時間の心電図を記録して解析可能なホルター心電図による検査を行っています。超音波検査装置による心エコー検査も、必要であれば受診当日の検査も可能です。

当院で可能な検査

心房細動の治療

一時的な心房細動がある場合には心房細動の発作を予防する薬や発作を止める薬を処方し、心房細動が続いている場合には心拍数を調整する薬を処方して心臓の負担を軽減させます。また、心房細動があると脳梗塞を起こしやすいので、予防のために血液を固まりにくくする薬を処方しています。
また、近年になってカテーテルアブレーション治療が目覚ましく発展し、心房細動を止めて正常洞調律を維持するために行われることが増えてきています。

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