予防接種
予防接種は、国が定めて自治体が実施する定期接種と、個人が希望して受ける任意接種に分けられます。
予防接種を受けるとその病原体の抗体が体内にでき、その病原体に感染しにくくなる、または感染しても重症化しにくくなる効果が期待できます。
子どもが一定年齢で受ける予防接種、毎年流行前に受けるインフルエンザ予防接種、リスクのある方が受ける肺炎球菌などの予防接種、海外渡航前に受けるよう定められた予防接種など、当院では様々な予防接種に対応していますので、お気軽にご相談ください。
なお、インフルエンザ予防接種は毎年決まった時期にはじまり、その時期にはインフルエンザワクチンを院内に常備していますが、それ以外のワクチンは取り寄せる必要があります。予防接種をご希望される場合には、事前に受付や電話でお問い合わせください。
主な取り扱いワクチン
インフルエンザワクチン
ワクチンの効果・目的
インフルエンザワクチンには、インフルエンザウイルスへの感染を予防する効果が期待されますが、それ以上に重要なのが、万が一インフルエンザに感染した場合の重症化を防ぐ効果です。特に高齢者、基礎疾患を持つ方にとっては、インフルエンザが肺炎、脳炎、心不全といった重篤な合併症を引き起こすリスクがあります。ワクチンを接種することで、こうした合併症のリスクを大きく下げることができます。
また、自分自身の健康を守るだけでなく、家庭内や職場などで周囲の人、とくに高齢者や免疫力の低下している方への感染拡大を防ぐという社会的な予防効果もあります。インフルエンザは非常に感染力が強く、症状が現れる前から他人に感染させてしまうこともあるため、発症率を抑えることで集団内の感染拡大を防ぐことにつながります。
接種時期
インフルエンザは例年12月から3月ごろにかけて流行のピークを迎えます。そのため、ワクチン接種は流行が本格化する前に済ませておくことが重要です。一般的には、効果が現れるまでに約2週間かかるとされているため、毎年10月中旬から11月中の接種が推奨されています。早めにワクチン接種を受けることで、流行初期からしっかりと免疫が働く状態を維持することができ、感染の予防や重症化の防止により高い効果が期待できます。ただし、年齢や体質によって免疫の持続期間には差があるため、接種のタイミングについて不安がある方は医師にご相談ください。
よくある質問(Q&A形式)
インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンは同時に接種できますか?
はい、現在の厚生労働省の指針では、インフルエンザワクチンと新型コロナウイルスワクチンは同時接種が可能とされています。両方のワクチンを一度に接種することで、スケジュール管理がしやすくなるメリットがありますが、個々の体調や接種歴によっては医師の判断が必要となる場合もあります。
何回接種すればいいですか?
13歳以上の方は通常1回の接種で効果が期待できます。一方で、13歳未満の小児については、免疫が十分に発達していないため、2回の接種が推奨されています。2回目の接種は1回目から2~4週間の間隔を空けて行う必要があります。初めてインフルエンザワクチンを受けるお子さまは特に、接種スケジュールに余裕を持って準備することが大切です。
接種当日の運動や入浴は大丈夫ですか?
接種後の軽い運動や入浴は基本的に問題ありませんが、接種部位に腫れや痛みがある場合や、体調に違和感を感じる場合は無理をせず安静に過ごすことをおすすめします。激しい運動や長時間の入浴は、接種後すぐは避けた方が安全です。万が一、高熱や強い腫れなどの異常反応が出た場合には、速やかに医師にご相談ください。
肺炎球菌ワクチン
肺炎の主な原因になる肺炎球菌感染症の感染や重症化を予防するワクチンです。肺炎球菌感染症は重症化すると気管支炎や肺炎、敗血症などの重い合併症を起こすことがあります。肺炎による死亡者のほとんどは高齢者であり、肺炎は日本の死亡原因として長年上位を占めています。なお、肺炎球菌ワクチンの効果は約5年間持続するとされていますので、初回接種から5年以上経過している場合には、再接種をお勧めしています。
麻疹風疹(MR)ワクチン
風疹は成人が感染すると重症化しやすく、妊婦さんが感染すると赤ちゃんの耳・目・心臓に障害が生じることがあります。妊娠をお考えの方には抗体検査や予防接種をお勧めしていますが、ワクチン接種後約2か月は妊娠を避ける必要があり、妊娠している可能性がある場合にはワクチン接種ができません。また、風疹ワクチンの定期接種機会がなかった男性は自治体から送付されるクーポンで抗体検査と予防接種を原則無料で受けられます。
水痘・帯状疱疹ワクチン
水痘(水ぼうそう)は妊婦さんが感染した場合13~15%が死亡する重症肺炎を起こし、流産や早産の原因にもなります。また赤ちゃんの脳炎・小頭症・四肢形成不全などを起こすこともあります。帯状疱疹は水ぼうそうのウイルスが神経節に潜伏して長期間経過してから発症し、強い痛みが長期間続いてしまうことがあります。当院では、水痘生ワクチンと帯状疱疹不活化ワクチン(シングリックス)に対応しています。
新型コロナウイルス
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症や重症化を防ぐ効果があります。ヒトの細胞に侵入するためのスパイクタンパク質の設計図を脂質の膜に包んだメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンです。接種することで細胞内にウイルスのスパイクタンパク質がつくられ、それに対する中和抗体産生および細胞性免疫応答が誘導され、予防効果につながります。接種後の副反応に、接種部位の痛み、頭痛・倦怠感、筋肉痛、発熱などがあり、ごくまれですが急性のアレルギーであるアナフィラキシーを起こすこともあります。発熱など体調不良がある場合は接種を控える必要がありますので、問題がある場合は接種予定の施設に連絡をしてください。
予防接種の費用
| 費用(税込) | |
|---|---|
| 肺炎球菌 ニューモバックス | 8,800円 |
| 肺炎球菌 プレベナー | 11,000円 |
| MR(麻疹風疹混合)ワクチン | 9,000円 |
| おたふくかぜワクチン | 5,500円 |
| 水痘帯状疱疹ワクチン | 7,700円 |
| 帯状疱疹不活性化ワクチン シングリックス(筋注用) |
1回22,000円 ※2回必要 |
| B型肝炎ワクチン ヘプタバックス |
5,500円/回 |
